2018/05/28

D・ロセッティ『命の棲む家』「死の先の愛へ」

第41歌 死の先の愛へ
Through Death to Love

例えば、月を背負う雲が逃げていく、
冬に噛まれた荒野を吹き払う風から――
例えば、変幻自在の水流が巡りゆく、
夜の満ち潮の中で――恐れが重なる
喉のかすれた炎と歯切れの悪い海に――
同じく、僕らの息で曇ったガラスに
僕らの心は粗い像を見て取る、死と
影と群れが永遠を縁取っていく姿を。

しかし、死の迫りくる影を横切って
ある力が飛び、流れる風や飛ぶ鳩に
勝る柔らかさで地に降り、巣を覆う。
教えてくれ、心よ――天使を招く扉、
翼に払われた脱穀場の前にいる客は
お前と同じ炎の翼を持つ愛の従者か。

Dante Rossetti. "Through Death to Love"
in The House of Life (1898).