2018/05/27

D・ロセッティ『命の棲む家』「切り離された分身」

第40歌 切り離された分身(Severed Selves)

遠く隔てられている二人分の静寂も、
一緒にいれば恋する歌声に辿り着く。
一緒なら恋を喜ぶ二人分の眼差しが、
今は暗い森に遮られた星々のようだ。
触れるだけで心が安らいでいく手も、
心という神殿に聖火を灯し合う胸も、
逢瀬に重なれば一体となれるのだが、
二人の魂の岸を海が隔て、波が嘲る――

これが現在の僕らだ。ああ!希望は
本当に再会の一時を予見できるのか、
恋の暗い流れが再びきらめく一時を――
何と遅く来て、何と早く去る一時よ――
咲いては枯れ、葉だけを残す一時よ、
散る花のように脆く衰えていく夢よ。

Dante Rossetti. "Severed Selves"
in The House of Life (1898).