2018/02/05

D・ロセッティ『命の棲む家』「彼女の賜物」

第31歌 彼女の賜物

王妃たちが持参金に携えるような気品、
 木々のなす光景のような素朴な美しさ。
 一瞥を投げる瞳は、空を湛える水面か、
森の暗がりに灯る風信子の光のようだ。
胸を震わせ、心を奪うような頬の白さ。
 情熱に燃えた唇の形も仄めかしている
 口に秘めた全ての音楽と全ての静寂を。
彼女の色の濃い金髪は、最高の宝冠だ。
滑らかな首筋は愛の神殿の円柱となり、
 聖域に駆け込んだ心が縋る場所となる。
 両手はいつも愛の神の意に沿って働き
両足はそのお告げに応じてそっと動く――
だが、この彼女の賜物を数えるよりも、
魂よ、彼女の名を囁く方が豊かなのだ。

Dante Rossetti. "Her Gifts"
in The House of Life (1898).