2018/01/29

D・ロセッティ『命の棲む家』「最後の火」

第30歌 最後の火
恋人よ、君と僕の胸中に、夏の夕べは、
 万物を従えた絶景はどう輝くのだろう?
 恍惚とした今日の太陽は西の空を埋め、
その光は消えかけの火のように美しい。
君の胸の高鳴りも、今は少し穏やかだ。
 まるで愛の港に着いたように、恋心が
 想いを降ろすと、僕らも眠りに落ちて、
お互いの夢が至福の記憶を連れてくる。

冬が仕舞い込んでしまう日々の多くは
 太陽が表に出ず、僅かに日が差しても
 裸の木たちに積もった雪は払われない。
だが、この一日だけは夏の情人となり、
不朽の核まで太陽の色に染まっている
 愛の甘い幸福と心を満たす安心の色に。

Dante Rossetti. "Last Fire"
in The House of Life (1898).