2018/01/08

D・ロセッティ『命の棲む家』「天を巡る心」

第27歌 天を巡る心

時々、君が君という一人の人ではなく
 全ての存在の意味に見えることがある。
 息も止まる絶景が遥かな前触れとなり
和やかに口を噤んだ見事な太陽が立つ。
落ち着いた唇は目に映る音楽の調べだ。
 瞳が魂の日の出を閉ざす閂を降ろせば
 奥深くに燃える神託の炎が二つ見える――
蒔かれ刈られる全ての生命を表す心が。

これこそ愛だ。君の名は愛ではないか?
 間違いない、愛の神が君の手を借りて
 夜の曖昧な作為をなす雲の群れを裂き、
雲を振り落とし、君の瞳を高みに据え、
ただ、挑戦の花や手袋を投げるように
 君に抗う世界へ微笑みの杭を打つのだ。

Dante Rossetti. "Heart's Compass"
in The House of Life (1898).