2018/01/15

D・ロセッティ『命の棲む家』「魂の光」

第28歌 魂の光

君ほどに愛される人はいるのだろうか、
 君を愛し尽くせる愛はあるのだろうか?
 歓楽の限りを尽くした後なのに、まだ――
まるで鬱蒼とした並木道の果てにある
昼の優しい魅惑のように――君の瞳の
 奥深くにも飢えを増した興奮が見える――
 愛が魂の籾殻を払う手で自らの内奥の
光と雫の弧を蒸留して得た火のようだ。

例えば、日の出を見た旅人は歓喜して
 仄かな暖かさに舞い上がり、星の潮は
 新生の奇跡を運び、薄明るく澄み渡る
一日の始まりには瑞々しい陶酔が湧く――
 君の瞳と声の奥にある魂も、僕の魂を
 限りない愛の多彩な光で震わせるのだ。

Dante Rossetti. "Soul-Light"
in The House of Life (1898).

【翻訳メモ】
・鬱蒼とした並木道(deep avenue)
 立派な木が並んだトンネルのような道。
 画像はtree avenueとかで検索できます。
・光と雫の弧(arc of light and dew)
 この詩の一番の難読箇所だと思います。
 僕は露の面に反射する光と取りました。
 これはちょうど瞳の光と同じものです。