2017/12/20

D・ロセッティ『命の棲む家』「歓喜の最中にて」

第26歌 歓喜の最中にて

愛らしく愛しい君よ、僕の愛する君よ。
 君のキスは一度目のままだ。眼差しは
 今も新しい日の出となり、恋の世界の
夜明けを灯している。声はどこまでも
隠れ家の奥に憩う鳩の声色と重なって
 魂にそっと寄り添う手のひらのようだ。
 そして君の手はまるで甘い声のように
疲れ果てた表情を捕えて、変えるのだ――

君の言葉に返せる言葉が――君の瞳に
 応じられる瞳があるのか。今も球面が
 崇拝中の僕の顔を取り込み、僕の像は
奥底から差す天の光輪に囲われている。
キスや抱擁で僕の心の奥も伝わるのか、
ああ、愛らしくて愛しい、愛する人よ。

Dante Rossetti. "Mid-Rapture"
in The House of Life (1898).