「希望をカップに一杯!」と言う彼女。
春の花盛りが老けないように。
ワインの深紅も貧しく冷たい
豊かな真紅の唇と比べれば。
「恋心をカップに一杯!」何と小さな、
何と柔らかな声。そう言うと
彼女の赤らんだ頬が微笑んだ
雪の肌に夏が訪れたように。
「記憶をカップに一杯!」
冷めた一杯を独りで飲み干す。
秋の風は悼むような声を上げ
侘しい海を吹き抜けていく。
希望、記憶、それから恋心。
美しい朝には希望を、昼には
恋心を、そして薄暗い夕闇と
独りぼっちの鳩には記憶を。
Christina Rossetti, "Three Seasons"
in Goblin Market (1862).