第11歌 「恋文」
その手で温め、髪で影を落とすほどに
彼女は君に身を寄せ、心を注いだのだ。
鼓動の跡がはっきり伺える黒い文字の
滑らかな流れに君の白さが映える――
めくれて息遣いまで伝える甘い紙――
ああ、君の静かな歌で僕に教えてくれ、
共鳴する愛の歌に嫁いだ音楽のように
唇や瞳と一つになった彼女の魂の姿を。
是非、優しい気持ちで見ていたかった、
彼女の胸がこの書き物に押しつけられ
胸の内の秘密が胸を潜り抜ける様子を。
ふと見上げた瞳を通して、彼女の魂が
僕の魂を求めると、不意に思い当たり、
愛が愛らしくなる言葉を捉える様子を。
Dante Rossetti. "The Love-letter"
in The House of Life (1898)
Dante Rossetti. "The Love-letter"
in The House of Life (1898)