2017/06/15

シェイクスピア『ソネット集』 第154歌

あるとき幼い愛の神が横になって眠り
傍らに恋心に火をつける松明を置くと
純潔の生活を守るという誓いを立てた
沢山のニュンフが軽やかに寄ってきた。

その中で最も麗しい信徒は無垢な手に
無数の真心を熱くしてきた炎を取った。
かくして熱愛を導く将軍は眠った間に
乙女の手によって武装を解かれたのだ。

ニュンフは冷たい泉で松明を消したが
泉は愛の炎から永遠の熱気をもらって
病人の健康を回復させる温泉となった。

だが、愛する彼女に囚われている僕は
治療のために泉へ来て知ってしまった
水が愛に沸いても愛は水に冷めないと。