2017/06/08

シェイクスピア『ソネット集』 第140歌

残酷な君を賢明にし、手加減してくれ
口を噤む僕の忍耐に侮蔑で迫るときも。
悲しみが言葉を僕に貸し、その言葉が
憐れみを知らない痛みを表してしまう。

より良く振る舞う知恵を君に教えたい
僕を愛さないで僕への愛を語る知恵を。
癇癪持ちの病人には、死が近づいても
健康になれると伝えるのが医者なのだ。

もし僕が絶望して怒り狂ってしまえば
僕は狂ったまま君の悪口を言うだろう。
今の世の中は酷く歪んでしまったから
狂った中傷も狂った耳が信じてしまう。

僕が狂って君が誤解されないためにも
奢った心が離れても目は合わせてくれ。