2017/06/07

シェイクスピア『ソネット集』 第138歌

彼女は真実の人だと僕の愛が誓うとき
嘘に気づきながらも彼女を信じる僕を
彼女は未熟な若者と思うかもしれない
世間の偽りの手管を知らない若者だと。

若く思われようという虚しい考えから
自分の盛りは過ぎたと知られていても
単純な僕は彼女の舌の偽りを信用する。
こうして単純な真実は挟み撃ちに遭う。

なぜ彼女は自分の不正を語らないのか?
なぜ僕は自分の老いを口にしないのか?
ああ!表面上の信用は恋の鉄則であり
老いた恋心は年齢を伏せるものなのだ。

僕が彼女に、彼女が僕に嘘をつくなら
嘘はお互いの欠点を誤魔化してくれる。