2017/06/07

シェイクスピア『ソネット集』 第137歌

盲目の道化である恋よ、僕に何をした
瞳で見ているものが見えなくなるとは?
瞳は美を理解して見ているつもりだが
最低のものを最高だと見間違えている。

色目を使われ過ぎたために瞳が堕落し
誰もが停泊する港に錨を下ろすときに
なぜ恋は瞳の虚偽という鈎を鋳造して
心の判断力まで絡め取ろうとするのか?

なぜ僕の心は私有地だと思い込むのか
世間に開かれた共有地だと知りながら?
なぜ僕の瞳は目にしたものを否定して
麗しい真実に汚らしい化粧をするのか?

僕の心と瞳は今や真正なものを見誤り
恋という虚偽の疫病に身を委ねている。