2017/06/03

シェイクスピア『ソネット集』 第129歌

恥ずべき荒れ野で精力を費やすことで
情欲は達成される。それまでの情欲も
偽証や殺害をし、血まみれで罪を重ね
野蛮で過激で乱暴で残忍で信用がない。

楽しむかと思えば生真面目に軽蔑する。
理性に背いて狩りをして、獲得すると
理屈に背いて憎み始め、食べた獲物を
狩人を狂わせる罠だったと思い始める。

追求する間も所持する間も狂っている。
再現なく手を出し、手に入れ、手放す。
至福を証明するはずが悲痛を証明する。
目指した喜びも、過ぎ去れば夢となる。

世の人は全てを知っているのに、誰も
この地獄に通じた天国を避けられない。