2017/05/13

シェイクスピア『ソネット集』 第94歌

傷つける力があっても何もしない人や
その気を見せつけても何もしない人は
他のものを動かすが自らは石のように
動かず、冷たく、誘惑にも反応しない。

この人々は天から相応しい恩恵を受け
自然の富を浪費から守る倹約者なのだ。
この美貌の主人や所有者に動かされる
他の人は美点の世話を焼く執事なのだ。

動かぬ夏の花も夏の盛りには甘く香り
自分のためだけに咲いては散っていく。
だがそうした花も卑しい病害に遭うと
品位が落ち一番卑しい雑草にも屈する。

最高の芳香を最低の悪臭にする行いは
百合を腐らせ雑草よりも臭くするのだ。