2017/05/13

シェイクスピア『ソネット集』 第92歌

君を盗むという悪事をしてみるといい
それでも僕の命の限り君は僕のものだ。
君の愛が続く限りしか僕の命は続かず
この命は君の愛に存するものだからだ。

それなら最大の過ちも恐ろしくは無い
最小の過ちでも僕の命は終わりなのだ。
思うにこうした状態はまだましな方だ
君の気分に振り回されてしまうよりは。

君の心変わりに苦しむこともなくなる
君が裏切れば僕の命も終わりだからだ。
ああ、何という幸せな身分なのだろう
幸せに君の愛を得て、幸せに死ぬとは!

しかし傷一つ無い祝福があるだろうか?
僕には君が不実なのかわからないのだ。