2017/05/12

シェイクスピア『ソネット集』 第89歌

君が過ちを犯した僕を見捨てるのなら
僕は自分の罪を自ら解明してみせよう。
君が足萎えと言うなら足を引きずろう
君の申し立てには反論ができないから。

愛しい人よ、君の侮辱はまだまだ甘い
都合の良い歪曲を形にしようとしても
僕の自虐には及ばない。君が望むなら
僕は君との交際を隠して他人を装える。

君の歩く道も避けよう。もう僕の舌に
君の甘く愛らしい名前の居場所はない
余りに不敬なことだから、間違っても
僕らの交際を口にしてはいけないのだ

君のためなら自分に反論すると誓おう
君に嫌われた自分を愛しなどしないと。