2017/05/11

シェイクスピア『ソネット集』 第87歌

さよなら!君は手に入らないほど尊く
君も自分の評判は知っていると思うが
君の価値は君を開放する特許状なのだ。
君にかけた僕の債権も全て期限切れだ。

君の承諾以外に君を得る術があるのか?
この富を手にする資格が僕にあるのか?
この麗しい贈り物をもらえる訳もなく
僕は自分の権利を返上することになる。

君が僕に君をくれるのは、君の価値を
知らないか、僕を誤解しているからだ。
君の大きな贈り物も手違いだとしたら
判断が改められたら元の所へ帰るのだ。

夢のおだてるままに君を手に入れても
眠りの中の王位は目覚めと共に終わる。