2017/05/09

シェイクスピア『ソネット集』 第85歌

僕のムーサが行儀よく舌を縛る一方で
君を賛美する詩人たちの贅沢な詩集は
君の姿をとっておきの黄金の羽ペンと
ムーサたちに磨かれた美辞麗句で描く。

人は言葉を選ぶが、気持ちを選ぶ僕は
文盲の教会員のように「アーメン」と
才気溢れる一つ一つの賛美歌に唱える
洗練されたペンが様式を仕上げた歌に。

君への賛美に「その通りです」と言い
最大の賛美にあるものを足そうとする。
それこそ君を愛する僕の気持ちであり
言葉になるのが後でも伝わるのは先だ。

他の詩人の言葉遣いを大切にするなら
沈黙で語る僕の気持ちも尊重してくれ。