2017/05/08

シェイクスピア『ソネット集』 第80歌

ああ!君について書くのは気が引ける
優れた精神の持ち主が君の名を挙げて
全力で賛美しているのを知ってしまい
君の評判で舌が縛られてしまったのだ。

とはいえ君の価値が広大な海のように
粗末な船も見事な船も等しく運ぶなら
あの詩人より劣った僕の不遜な小舟も
生意気ながら君の大海原に漕ぎ出そう。

僕が君の浅瀬に助けられて漂う一方で
あの詩人は底の深い波間を進んでいく。
僕のは難破しかけている粗末な船だが
彼のは高く築き上げられた見事な船だ。

そして彼が成功して僕が漂流するなら
最悪だが、僕の愛は破滅に終わるのだ。