2017/05/06

シェイクスピア『ソネット集』 第78歌

僕のムーサとして君に呼びかけるたび
君は僕の詩作を麗しく助けてくれるが
赤の他人まで僕の作法でペンを走らせ
君に頼って自分の詩を広めようとする。

君の瞳は無口に声高く歌うことを教え
鈍重な無学に高く飛翔することを教え
学識の翼にさらなる羽根を継ぎ足して
恵まれた人に恵んで威厳を二重にする。

とはいえ僕の詩集を一番誇ってほしい
君の力を持って君から生まれた詩集を。
他の人の作品では君はただ文体を繕い
君の美からその技巧に美を恵むだけだ。

だが僕は君そのものを技巧とするから
粗野で無学でも学識に追いつけるのだ。