2017/05/05

シェイクスピア『ソネット集』 第76歌

なぜ僕の詩には斬新な見所が無いのか
語法の多彩さや場面転換の鮮やかさが?
なぜ時代の流行りに目を向けないのか
目新しい作詩方法や風変わりな熟語に?

なぜ僕はいつも同じ一つのことを書き
新たな閃きにお馴染みの言の葉を着せ
書いた人の名前がわかるような口癖で
詩の血筋や源泉をばらしてしまうのか?

ああ!愛しい人よ、いつも君を書いて
君や恋のことばかり主題にしてしまう。
だから古い言葉に新しい衣装を着せて
払ったものを払い直すだけで精一杯だ。

古びていて新しい日々の太陽のように
僕の愛は語り終えたものを語り始める。