2017/05/02

シェイクスピア『ソネット集』 第73歌

君は僕からあの季節を見て取るだろう
黄色い葉を僅かに残すかどうかという
木の枝たちが余りの寒さに身を震わせ
可愛い鳥たちの合唱席も寂れる季節を。

君は僕からあの黄昏を見て取るだろう
夕日が西へ消えてしまった後のように。
黒い夜は少しずつその薄明を奪い取り
もう一人の死として全てを覆い尽くす。

君は僕からあの火炎を見て取るだろう
灰となった若い自分の上に横たわって
まるで死の床に焼き尽くされるように
自分で育んだ火に食い尽くされる炎を。

全てを見れば君の愛も強くなるだろう
別れが近いものこそ深く愛するように。