2017/04/30

シェイクスピア『ソネット集』 第72歌

ああ!世間は君に白状させようとする
君の愛する僕に何の価値があるのかを。
僕が死んだら――何もかも忘れてくれ
僕には君が証言するほどの価値は無い。

そうしないと君は優しい嘘を仕立てて
僕のために僕の身に余るものを与えて
消えた僕を称賛し過ぎてしまうだろう
けちな真実の認める分け前を無視して。

ああ!君の真実の愛が虚偽の姿となり
真実に背いてまで僕を褒めないように
僕の名前は僕の死体と共に埋めてくれ
僕と君を辱める名前もここまでの命だ。

僕は僕の生んだ作品のために恥をかき
君は価値の無いものを愛して恥をかく。