2017/05/30

シェイクスピア『ソネット集』 第124歌

僕の尊い愛が状況の子に過ぎないなら
愛は父も知らない運命の私生児となり
時の愛や時の憎しみに左右されながら
草に隠れる草、花輪に束なる花となる。

違う、僕の愛は偶然に築かれはしない。
虚飾の笑顔を取り繕う苦しみも知らず
奴隷になる不満に襲われることもない
時代がそのような風潮を招き寄せても。

僕の愛は異端者たちの術策を恐れない。
借用期間の短い恋愛にしか通用しない
あの術策よりも遥かに優れた術策とは
熱にも膨れず雨にも濡れないこの愛だ。

その証人に時の道化たちを召喚しよう
罪に生きて死に際に善を求めた人々を。