2017/05/23

シェイクスピア『ソネット集』 第109歌

ああ!僕を裏切り者と言わないでくれ
疎遠だと炎が弱まったように見えるが
僕は自分の側を離れられないながらも
君の胸中にいるように魂を置いてきた。

君は僕の愛の故郷だ。たとえ離れても
旅をする人のようにまた帰ってこよう
時と共に変わらずに、時と共に帰ろう
汚れた僕を洗うための涙を流しながら。

信じないでくれ、僕の本性を支配する
全て脆さに僕の全ての血が攻められて
この本性が無茶苦茶に汚されることで
僕が君の善さの一切を捨てるなどとは。

この広い宇宙も無に等しくなると思う
僕の薔薇よ、僕の全てたる君なしでは。