2017/05/21

シェイクスピア『ソネット集』 第106歌

費やされた時代を描いた歴史書の中に
僕は最も麗しい人物の描写を見つける
古びた韻律も美しくするくらい美しい
亡き淑女や麗しい騎士のための賛美を。

歴史書が最高の甘美さの紋章を授けた
手や足、あるいは唇や瞳や眉について
読む限り、古代のペンが描写している
美しさは今の君が従えるものと同じだ。

つまり歴史家たちの賛美は予言であり
僕らの時代にいる君の姿の予告なのだ。
そして予見しかできない歴史家たちに
君の価値を歌い尽くす技術は無かった。

しかし現代にいて今の君を見た僕らも
称賛が言葉にならず目を見開くだけだ。