2017/05/20

シェイクスピア『ソネット集』 第103歌

何ということだ!僕の貧しいムーサが
腕前を見せつける機会に恵まれたのに
その題材となるものの裸の価値の方が
僕の賛美を足したものより大きいとは!

ああ!筆が止まっても責めないでくれ
鏡を見てごらん、そこに映り込む顔が
僕の愚鈍な思いつきを遥かに踏み越え
僕の文字列を鈍らせ、僕を辱めるのだ。

懸命に繕う方が罪深くはないだろうか
既に優れている主題を損なうとしたら?
というのも、僕の詩が目指す頂点とは
君の美点と賜物を語ることなのだから。

僕の詩よりも多く、遥か多くのことを
君は自分の覗く鏡から教われるはずだ。