2017/04/26

シェイクスピア『ソネット集』 第69歌

世の眼差しが君のどこに向けられても
人々が心の中で繕うような綻びは無い。
全ての舌が、魂の声が君にふさわしい
裸の真実を告げ、敵さえも君を讃える。

君の外面は外面的な賛美の冠を戴くが
君にありのままの君を捧げる舌たちも
見方を変えれば称賛し損ねているのだ
目に映るものの奥を見つめないせいで。

君の心の美しさを見ようとする人々も
それを君の行いだけから勘繰るだけだ。
世話好きな目つきをし、匹夫の考えで
君の美しい花に雑草の悪臭を付け足す。

君の香りが君の姿に合わなくなるのは
君が平凡になってしまう土壌のためだ。