2017/04/25

シェイクスピア『ソネット集』 第68歌

彼の頬は朽ち果てた日々を示す図面だ
美が花々のように咲いて散った日々を、
庶子の生まれの麗しさが描き込まれて
生きた顔つきに住み始める前の日々を。

持ち主の亡くなった黄金の毛髪たちが
共に埋葬される権利を切り落とされて
次の頭で次の生を送るようになる前の、
美しい死者の毛が鬘となる前の日々を。

彼に映し出される神聖な太古の時代は
何も飾らず、ありのままの真実であり
他人の緑を使って夏を装うこともなく
古着を奪って美を繕うこともなかった。

自然は彼を図面として残しているのだ
偽物の技巧に昔の美の姿を示すために。