2017/04/18

シェイクスピア『ソネット集』 第59歌

新しいものなど存在せず、何もかもが
既にあるものなら、僕らの頭は欺かれ、
誤解をしたまま発明に無駄骨を折って、
前と同じ子をもう一度抱くことになる。

ああ、記録が残っているものを辿れば
太陽の周りを五百回ほど戻った昔にも
君の面影を残した古文書があるだろう、
文字にまず残るものは人の想いだから。

そして昔の世界が言葉にできたことを、
君の姿への驚きを表したものを読めば、
僕らが進歩したのか、古人が上なのか、
それともただ循環があるのかがわかる。

ああ、きっと過去の時代の文人たちの
賛辞も君という主題には及ばないのだ。