2017/04/19

シェイクスピア『ソネット集』 第60歌

岸辺の丸い石に打ち寄せる波のように
僕らの時間も刻一刻と終わりへと急ぐ。
前を行くものと順位を交代するために
先を争いながら労苦を繰り返している。

かつては光の海原に生きていた幼子も
壮年へ這って進み、栄冠を頂くのだが、
意地の悪い蝕がその栄光に戦いを挑み
贈り主の時が今度は贈り物を壊すのだ。

時が青春の纏った華やかさを突き刺し
美しい顔を掘り返しては平行線を作り
貴重な自然の真実たちを貪った後には
刈り取りに使われた時の鎌だけが残る。

だが、希望を携えた僕の詩は時を超え、
君の価値を称え、時の残忍な手を蔑む。