◯記事について
・生没記念の年を迎えるクラシック作曲家の紹介。
人物・音源はNaxos Music Libraryで探しました。
※NMLの検索窓にCD番号を貼り付けて下さい。
・来年演奏したい方々のために前年から書いてます。
・今回はエクトル・ベルリオーズ。没後250年。
知名度からすれば、来年のメモリアルの本命かも。
ひょっとしたらフランスのオケが来日するかもね。
後はクラシックファン以外でも楽しめるかどうか。
音出ししながら分析する演奏会やればウケそう。
◯人物紹介と来歴
・エクトル・ベルリオーズ
(Hector Berlioz, 1803-1869)
フランス・ロマン派音楽の先駆者かつ代表格。
構成上の欠点を補って余りある型破りな霊感の持ち主。
文学への関心や文筆業など、文章との縁も深い。
・南東部のドーフィネ(革命後のイゼール)出身。
父は医者、息子も医者…となるはずが音楽に没頭。
パリに上京してからは大学そっちのけで音楽を学ぶ。
文学にも傾倒し、国内のロマン派作家とも交際する。
舞台俳優ハリエット・スミッソンのファンになる。
・出世作は26歳で完成させた『幻想交響曲』。
ハリエットへの一方的な愛憎を昇華し、大成功。
さらに、この曲をきっかけに彼女との結婚が叶う。
・30代からは苦労と貧困の日々が始まる。
歌劇の失敗が響いてパリでの人気と拠点を失ったのだ。
作曲の筆は旺盛であり、演奏旅行の成功もあった。
しかし貧困からは抜け出せず、文筆で糊口を凌いだ。
さらに、妻ハリエットとの関係も冷めてしまう。
この頃書いた一番有名な作品は『ローマの謝肉祭』。
それから、シェイクスピアやゲーテに基づく曲もある。
・50歳にはオラトリオ『キリストの幼時』を成功させる。
別居中のハリエットが亡くなった直後のことだった。
さらに、学士院会員に選ばれ、生活も安定した。
60歳で作曲と文筆から引退し、『自伝』を完成させる。
◯作品紹介(作曲順)
・『幻想交響曲』(1830年)
ベルリオーズの代名詞として真っ先に挙がる楽曲。
一般の好みは割れそうだが、歴史的評価は高い。
音楽外の説明書きが付く「標題音楽」の先駆けであり、
楽章を特定の旋律で結ぶ「固定楽想」を試した作品。
設定は「恋に悩む音楽家の阿片自殺未遂」というもの。
要するに、洒落た幻想じゃなくてヤバい幻覚なのだ。
・『劇的交響曲:ロメオとジュリエット』(1939年)
シェイクスピアの有名な悲劇に着想を得た作品。
象徴的な楽章で原作のエッセンスを表現している。
合唱や独唱も置かれた7部構成。(交響曲とは…)
ベルリオーズの中でも旋律美に長けた仕上がり。
『幻想』よりストレートな作品を聴きたい方向けかも。
・『序曲:ローマの謝肉祭』(1844年)
歌劇『ベンヴェヌート・チェッリーニ』を元にした曲。
この歌劇の不評が人気低迷のきっかけになった。
元は謝肉祭中の逢瀬の約束から始まる彫刻家の物語。
その一部を再利用して『ローマの謝肉祭』と名付けた。
よって、序曲とはいっても独立した曲になる。
こういうのは「演奏会用序曲」とジャンル分けされる。
◯音源紹介(Naxos Music Library)
・「幻想交響曲」
演奏者:パリ管(ミュンシュ)
CD情報:Warner Classics(5099964471358)
メモ:この曲の代表的な録音の一つ。おすすめ。
・「劇的交響曲:ロメオとジュリエット」
演奏者:革命ロマン管(ガーディナー)
CD情報:Decca(00028947839347)
メモ:古典期・ロマン期の再現に努める古楽器オケ。
・「序曲:ローマの謝肉祭」
演奏者:ナショナル・フィル(ストコフスキー)
CD情報:Warner Classics(190295674328)
メモ:指揮者の管弦アルバムより。盛り上がる。
◯音源紹介(YouTube)
・管弦楽曲「幻想交響曲」
第五楽章「魔女の夜宴の夜の夢」
演奏者:ハンガリー国立楽団(フェレンチク)
登録者:Hungaroton(YouTube Art Truck動画)