第21歌 恋の快さ
彼女のほどけた髪が落ち、快い暗さで
君の顔を包む。快い手が君の頭に絡み
花輪をかぶった良縁を惜しみなく育む。
揺れる笑み。愛しさが快く蘇る目配せ。
彼女が記念のようにする微かな溜め息。
彼女の唇から快さを摘む君の口づけは
頬、首、瞼に注がれてから戻ってくる
その全部にお返しをする彼女の唇へと――
さらに快いものが存在しないだろうか?
その快さの全てに欠かせないあるもの――
それは確信に満ちた心の静かな熱気だ。
精神の翼は素早く羽ばたき舞い降りる
帯に雲を巻いて旅する途中で、足元に
同族の息遣いを感じ取った鳥のように。
・メモ
近づいてきた仲間に気づいた鳥の例え。
翼でブレーキをかけ、降りる先を探す。
通い合える相手を見つけた心も同じだ。
Dante Rossetti. "Love-Sweetness"
in The House of Life (1898)
in The House of Life (1898)