第6歌「口づけ」(The Kiss)
遅々とした死の病に感覚を覆い消され
意地の悪い無常に捕まってしまったら
奪われるのだろうか、この体の名誉も
今日この魂が身に纏った婚礼の衣装も?
ご覧!今だって僕の愛する女性の唇は
僕の唇と協和した間奏曲を奏でている、
月桂を戴いたオルフェウスが想い人の
切ない表情に最後の愛を歌ったように。
僕は彼女に撫でられる子供となり――
吐息を交わす大人となり、二人は――
彼女が僕の瞳を使えば一心となり――
僕らの命の息が一緒に命の血を煽ると
一人の神となり、熱烈に競い合う愛で
炎に炎を、神性に望む心を注ぎ込んだ。
・翻訳メモ(11行目)
A spirit when her spirit looked through me,—
相手の瞳に映るものが見える状況と取った。
キスをする距離で見つめ合う瞳は鏡になる。
互いに見えるものが見えれば霊魂は一つだ。