2017/05/30

シェイクスピア『ソネット集』 第122歌

僕の頭には君の贈り物や記録帳があり
どれもが消えない記憶で綴られている
空しく言葉を並べた詩よりも長生きし
全ての月日を超えて永遠に届く記憶で。

たとえそうでなくとも、僕の頭と心が
その生まれつきの生存力を保っていて
君の記憶を忘却へ明け渡さない限りは
君の記録が失われることも決してない。

粗末な備忘録に残るものは多くないし
君の尊い愛を勘定する必要もないのだ。
それなら思い切って備忘録を手放して
君の優れた記録帳として心を信じよう。

君を思い出すために補助に頼ることは
僕を忘れやすい人にしてしまうだろう。