2017/05/25

シェイクスピア『ソネット集』 第115歌

僕が書いてきた文字列は嘘に変わった
あなたへの愛は最高潮だという言葉も。
僕の判断力には知る由もなかったのだ
最大に達した炎が更に激しくなるとは。

着々と進む時の招いた幾千もの偶然は
誓約の間に侵入し、国王の法令を変え
神聖な美を加工し、鋭い決意を鈍くし
強固な心を無常の道理へと招いてきた。

悲しいことだ!時の暴虐が恐れる僕が
「あなたへの愛は今が一番だ」と言い
不確かさより確かさに、疑わしくない
現在に冠を認めるのも当然ではないか?

愛が幼子なら、今が一番とは言わずに
育ちゆくものの完成を待つべきなのか?