2017/04/22

シェイクスピア『ソネット集』 第63歌

いつか僕の愛しい人も今の僕のように
時の有害な手に砕かれ、潰されていく。
刻一刻と彼の血が吸われていく一方で
彼の顔も皺や筋で覆われていくだろう。

若き朝から老いた険しい夜へ旅立てば
今の彼の王座を形作る全ての美しさも
視界から姿を消し去ってしまうだろう、
青春という財宝を盗んで逃げたように。

その時に備えて、僕も今は砦を築こう、
心を乱す老いの残忍なナイフによって
人の記憶から彼が断ち切られることで
愛しい人の美が命と共に尽きぬように。

彼の美をこの黒い文字列が表せるなら、
この詩が残る限り、彼も新緑のままだ。