2017/03/15

宗教改革500周年を楽しむためのクラシック音源集

2017年はルター(Martin Luther, 1483-1546)の宗教改革500周年の記念年です。
(ルターの「15171031日」を実証する史料があるのかはわかりませんが…笑)
宗教改革は贖宥(平信徒の罪の償いを功徳の分与で補う仕組み)に関して始まりました。
領邦国家の政治情勢と相まって、この改革の試みは領邦単位の宗派分離に帰結します。
この間、宗教音楽も歌唱言語の拡大、音楽的様式の変化などを経験しました。
(ちなみにルターは音楽に大変理解の深かった宗教者としても知られています。)
今回はそんなルターの宗教改革に絡めてNMLからいくつかのCDをご紹介します。

【当時のドイツ音楽】
〇ルターの時代の近世ドイツ世俗音楽
「ルター」を副題に掲げながら、宗教音楽ではなく世俗音楽を特集した面白い一枚。
――「徳と悪徳:ルターの時代のドイツ音楽」(Naxos, 8.553352

【ルター派の宗教音楽】
〇ルターの歌詞による近世ドイツ宗教音楽
1617世紀を中心にH・グリムからJS・バッハまでの宗教音楽を収録した一枚です。
――教会音楽集「われらが神は堅き砦」(Rondeau Production, ROP6074

【カトリックの音楽改革】
GPd・パレストリーナ(Giovanni Pierluigi da Palestrina, 1525-1594
宗教改革を受けたカトリック独自の改革の中で生まれた平明で清らかな通作ミサ曲です。
――「教皇マルチェルスのミサ曲」(Naxos, 8.550573

【バロックのルター派音楽】
GP・テレマン(Georg Philipp Telemann, 1681-1767
ルター派の牧師の家系に生まれ、今年没後250年を迎える作曲家テレマンの作品集。
典礼文を取捨選択したルター派のミサは「短いミサ」(Missa brevis)に分類されます。
――「ミサ・ブレヴィス」(Capriccio, C10315
JS・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685-1750
バッハの文脈としてのルターに注目し、ルターの作詞による楽曲を扱った一枚です。
――「われらが神は堅き砦」(Etcetera, KTC1442

【両派の様式を超えるミサ曲】
JS・バッハ
バッハは晩年、ルター派・カトリック両派の様式・歌詞を総合したミサ曲を書きました。
この背景として社会的立場・楽曲構成・宗教的信念など様々な理由が推測されています。
――「ミサ曲:ロ短調」(Deutsche Grammophon, 00028942715523

【ルターを主役にした後世の作品】
LS・マイナルドゥス(Ludwig Siegfried Meinardus, 1827-1896
リストの弟子マイナルドゥスがヴォルムス帝国会議を軸にルターを描いた作品です。
前半部では会議に向かうルター、後半部では会議の場に立つルターが描かれています。
――「オラトリオ:ヴォルムスのルター」(CPO, 777540-2