ねえ、わたしが死んでしまっても
かなしい歌は歌わないで
薔薇を植えるのもいや
影を落とす糸杉もいらない
それよりも緑の若草がいい
雨露をしたたらせるの
憶えているなら、憶えていて
忘れるのなら、忘れていて
影を見ることもないでしょう
雨と知ることもないでしょう
つらそうに歌うナイチンゲールを
聴くことももうないでしょう
朝の来ない暁、夜の来ない黄昏
そこで夢に結ばれて
思い出すこともあるでしょう
忘れることもあるでしょう