2017/08/29

D・ロセッティ『命の棲む家』「恋人たちの散歩」

第12歌 恋人たちの散歩

生垣で絡み合う芳しい花が風を忘れる
六月の昼と、指を結び合う手と手――
静かな木立と見つめ合う凪いだ顔――
柳を香らせながら空模様を描く小川の
心まで透き通る流れ、瞳を映す瞳――
夏の大地を踏む爽やかな一時の散策は
日向と日陰を渡り、二つの魂の間には
微笑みとため息が天国の橋を渡す――

この道を行く二人の体は愛おしそうに
目に映る互いの美に身を寄せ合い――
燃える二人の心は愛の神の定めにより
彼の永遠にして真実の心へ身を寄せる、
雲の泡立つ紺碧の空が泡一つない海の
青い水平線に寄りかかって休むように。 

Dante Rossetti. "The Lovers' Walk"
in The House of Life (1898)