2019/05/05

新訳 W.シェイクスピア『ソネット集』 No. 45

【記事について】
W.シェイクスピア『ソネット集』に収められた154のソネット(14行の定型詩)を順番に訳していきます。翻訳は今回で3回目になります。

【詩について】
前回と同じく、今回の第45歌は美青年宛のソネット(1~126番)の一つです。この詩は、("the other"と始まるように)形式的にも一つ前の第45歌の続編になっています。思いは軽やかで乾いた元素として青年の元へ飛び去り、青年のことを報告しに戻ってきます。ここは例えられている事態が掴みにくいですが、ここで詩人は「青年のことを考えていない暗い時間」を「魂が青年の許にいる時間」と解釈しているのかもしれません。

【翻訳】
一方で、軽やかな空気と清らかな火は
僕がどこにいても君の側にいる元素だ。
空気は僕の思い、火は僕の望みであり
俊足で移動し、いるかと思えばいない。
この速い方の二つの元素がここを発ち
君への愛を伝える優しい使者となれば
四元素からなる僕の命は二元素に減り
憂鬱室に圧迫されなが死へ沈んでいく。
生命の構成が元通りに回復されるのは
君のところから帰る俊足の使者たちが
今にでも戻ってきて、自分で確かめた
君の麗しい健康を僕に聞かせるときだ。
嬉しい知らせだが、喜びはすぐに止み
再び使者を送ると、真っ先に辛くなる。

【原文】(表記は現代英語)
The other two, slight air and purging fire,
Are both with thee, wherever I abide;
The first my thought, the other my desire,
These present-absent with swift motion slide.
For when these quicker elements are gone
In tender embassy of love to thee,
My life, being made of four, with two alone
Sinks down to death, oppressed with melancholy;
Until life's composition be recured
By those swift messengers return'd from thee,
Who even but now come back again, assured
Of thy fair health, recounting it to me:
   This told, I joy; but then no longer glad,
   I send them back again and straight grow sad.