第34歌 暗闇のガラス
君への愛には、僕も知らない先がある。
僕はどうやってここまで来たのだろう、
明日の持参金を昨日で測れないままに。
誕生や死、暗闇を纏った全ての名前が
騒がしい海に晒された扉や窓のように
僕の耳を音で塞ぎ、眼前を飛沫で覆う。
僕の感覚は愛をーー永遠の最後の中継、
終極の前哨地を貫くことができるのか?
ご覧!僕は愛にとって何なのだろうか?
万物の主たる愛が砂浜で拾った囁く貝ーー
その手の中で守られた小さな心の火だ。
だが愛は君の瞳からも僕に伝えている、
根源の明瞭な呼び声と多様な感触とを、
時に囲われた命が必ず理解するものを。
Dante Rossetti. "The Dark Glass"
in The House of Life (1898).
翻訳メモ
・暗闇のガラス(dark glass)は難解。
「心の火」をヒントに瞳と解釈した。
瞳は奥が暗闇に隠されたガラス玉だ。
「ご覧」は「目を見て」ということ。
自分の目を見てもらうと目が合う。
相手の目に話が移る逆説の「だが」。
・前半部の比喩は情景だけはわかった。
だけど例えの仕組みがわからない。
dark nameは何を指しているのか…。