膝を隠す深さに冬の雪は積もり、
冬の風は物憂げに溜息を吐いている。
諸君、教会の鐘を鈍く悲しく鳴らそう、
そろそろと歩み、ひそやかに語ろう、
旧き年が死にゆくところなのだから。
旧き年よ、死んではならない。
ほら、君は僕らの許へ颯爽と現われ、
僕らと共に悠々と暮らしたんだ。
旧き年よ、死んではいけない。
彼は静かに伏せたまま、動かない。
彼が日の目を見ることは無いだろう。
彼の命はこの他にもう無いのだ。
彼は友人と本当の恋人をくれたのだが、
新年はみんな持ち去ってしまうだろう。
旧き年よ、逝ってはならない。
ほら、久しく君は僕らと一緒にいて、
彼は満杯の盃を縁まで泡立てた。
これより素敵な年はもうあるまい。
たとえ彼の目が霞んでいっても、
たとえ彼を悪く言う敵がいても、
彼は僕にとって一人の友であった。
旧き年よ、死んではいけない。
ほら、僕らは君と共に笑って泣いて、
僕の心も半分は君と共に死ぬんだ、
旧き年よ、もし君が死ぬのなら。
彼は洒落冗談に欠かなかったけれど、
あの陽気な軽口も全てお仕舞だ。
彼を見届けるために荒れ野を越えて、
子孫たちが早馬を急ぎ走らせても、
彼はその前に亡くなっているだろう。
全ては彼のものとなるんだ。
彼の呼吸の苦しさよ!雪の彼方に
今しがた、僕は長鳴き鶏の声を聞いた。
影たちがあちこちでゆらめている。
蟋蟀が歌っている。灯火は下火だ。
もうすぐ、十二時になるのだ。
死ぬ前に握手を交わそう。
旧き年よ、僕らは切に君を悼むよ。
僕らは君に何ができるだろうか?
死ぬ前に聞かせてくれないか。
彼の顔が痩せ細っていく。
ああ!僕らの友は逝ってしまった。
その目を閉じ、顎を結わえてやろう。
その体から離れて、彼を迎えよう、
彼はそこに一人で立っている。
戸口で待っているんだ。
新しい客人の足音がする、友よ、
戸口には新年がいるんだ、友よ、
ドアには一人の新年が。